ユーザーに寄り添った顧客体験を提供したいーーデータ活用の課題を解決するLTV/解約率 改善サービス「KiZUKAI」 KiZUKAI代表取締役 山田氏 × STRIVE 古城

投資先by STRIVE

2023年までに1.4兆円にまで拡大すると言われる国内のサブスクリプション市場。株式会社KiZUKAIは、国内初のサブスクリプション事業者向けLTV・解約率改善サービス「KiZUKAI」を2021年2月に正式リリースしました。創業までの道のりやサービスの未来について、KiZUKAI 代表取締役の山田耕造氏にSTRIVE インベストメントマネージャーの古城がお話をうかがいました。

国内初・サブスク事業のLTV・解約率改善サービスでより良い顧客体験価値を創出

古城:あらためて、KiZUKAI社の事業内容からうかがっていきたいと思います。

山田:LTV/解約率の改善を行うことで顧客ロイヤリティを上げる事業を展開しています。先日正式リリースした「KiZUKAI」では、すぐにサービス改善に活用できる状態で顧客データを収集・蓄積し、顧客分析を自動化することで、複雑な顧客データの活用を簡単にし、KPI管理を行うことができます。現在、メインとなるお客様はC向けサブスク事業者です。

古城:サブスクサービスの中でも、特に活用されているのはどの業界でしょうか。

山田:デジタルコンテンツ系、物品系、サービス系です。新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインサブスクサービスの利用者が増えています。サービス利用者が拡大している一方で、データ活用には多くの企業が悩みを抱えています。データベースに欠陥がある、専門の分析員がいない、膨大なデータ処理工数がかかる、など利用データの活用には大きな障壁があるのです。

古城:どういったきっかけで事業立ち上げに至ったのでしょうか。

山田:原体験となったのは、20代前半で経験したフィリピンにあるマザーテレサの施設でのボランティア経験です。当時のフィリピンは治安が悪く、道端で人が亡くなることも珍しくないなか、その施設では亡くなる前の人をケアして看取るといった活動をしていました。この時の経験は非常に衝撃的で、「もっと力強く生きたい!」と感じたんです。

また、当時から自分の好きな領域で起業したいという想いが強くありました。その後、就職先でCRM、カスタマーエクスペリエンス(CX)等の領域の仕事を担当したのですが、自分はユーザーに寄り添った顧客体験を創ることが好きだなと確信したんです。そして、2016年3月にひとりで創業しました。

古城:ユニークな原体験ですね。すでに今のサービス構想はあったのでしょうか。

山田:創業前に出会っていた現取締役の片山とサービスの構想モデルについて話していたのが初期です。モデルは異なりますが、軸はCXを簡単にすることでした。

古城:その後の流れについてはいかがでしょうか。

山田:構想はあるものの、サービスを実際に作れる人がいない状況が続いていました。創業4カ月後に、現CTOの永山がジョインし、開発が大きく進んでいきます。「一緒にやろうよ」と声を掛けたら入社を即決してくれました(笑)。

古城:現在、会社の規模はどのくらいになりましたか。

山田:正社員が6名、契約社員やインターンを含めると10名ほどです。

これまでは、売上の規模感も踏まえ、まずはプロダクト作りに集中することを優先させていました。2月に正式版をリリースしたので、ここから本格的に事業・組織をスケールさせていきます!

急成長市場におけるニーズの強さと事業ドメインに対する理解の深さが投資の決め手

古城:私が山田さんと初めてお話したのは、2020年のAIアクセラレータのオンラインイベントがきっかけでしたよね。

山田:そうですね、オンラインでピッチを見ていただき、その後私からご連絡いたしました。

古城:イベントでの山田さんのピッチを拝見して、事業に魅力を感じていました。

山田:どこに魅力を感じていただけたのでしょうか。

古城:KiZUKAIのようなサービスへのニーズが増えていきそう、それに対し山田さんが必要な視点やスキルを持っている、この2点が大きかったです。今後、ますますサブスクサービスは増えていくでしょうから、LTVや解約率の改善はニーズが強くなるポイントだと思っております。初めてミーティングをしたとき、カスタマーエクスペリエンスに関する山田さんの解像度の高さに驚きました。前職のコンサル時代の経験を活かして、かなり細かい粒度でプロダクト設計をされているんだなと。

山田:ありがとうございます。古城さんもコンサル業界出身ということで、勝手に数字に強そうな印象を抱いていました(笑)。お話しているなかでマクロ目線と本質的な着眼点の強さをお持ちの方なんだなとも感じました。

古城:ありがとうございます(笑)。資金調達を検討するなかで、VCのどういった点を重視されていましたか?

山田:現状の段階では、まだまだプロダクト作りに注力したかったので、本質的なディスカッションができるかどうかを重視していました。

古城:当時、プロダクトの機能としてはダッシュボードのようなものはすでにありましたよね。すでに5社程度に利用されていて、ここから機能拡張を行い改善していくフェーズでした。

山田:お客様にご利用いただきながらフィードバックを元に一緒に作り上げていくほうが、プロダクトの成長スピードは上がると考えていました。

古城:そういった一緒に進んでいけるお客様の存在がKiZUKAIの強みだと思います。

山田:そうですね。現在では、オンライン英会話サービス「DMM英会話」運営のDMM.com、マンガ配信サービス「GANMA!」運営のコミックスマート、インターネットオークションサービス「モバオク」運営のモバオクをはじめとした、日本を代表するtoCサービス運営の企業様にご利用いただいています。

古城さんにもいつも支援していただき、何も隠さずに現状を話して、悩んでいるところを相談させてもらっています。

古城:KiZUKAI社はやれることが多いので、事業の優先順位付けや山の登り方を一緒に整理させていただいています。みんなで「ああじゃないかこうじゃないか」とディスカッションしています。

山田:古城さんにはシミュレーションシートを作っていただいたりもしましたよね(笑)。社内メンバーではスキルが不足している部分や効率的にできない部分等をサポートしてもらえるのが助かります。

「ユーザー想いのサービスで溢れる世の中に」ーー高い顧客体験価値を提供できるサービスの増加を目指す

古城:KiZUKAI社の今後について、中長期的な未来像をお聞かせください。

山田:お客様の体験価値が1番大切だと考えています。日本は接客業のクオリティの高さが強みですが、オンラインサービスの場合まだまだ改善の余地があるのが現状です。オンラインで活かせていないのは、データリテラシーの低さやエンジニア不足が原因だと思っています。本来、オンラインでも高い顧客体験価値を提供できるはずなのに、実現できていないのはもったいないですよね。中長期的には、ユーザー想いのサービスを増やしたいと思っています。

短期的には、まずサブスクサービスに特化したプロダクト改善をすることですね。サブスクサービスはECとは異なり、長く顧客と接点があるので、取得できるデータ量が膨大です。まずはこの領域でトップシェアを取るのが、中長期的なゴールへの1番の近道だと考えています。

古城:LTVを上げるのは、お客様側、事業者側双方にメリットがありますよね。可視化できなかったお客様のニーズが「KiZUKAI」を利用することで理解できるようになり、さらにサービスがより良くなり、顧客体験価値も上がる。みんなが使ってくれるサービスになってほしいと思っています。

山田:ありがとうございます。採用面やファイナンスなど、これからも支援よろしくお願いします!

古城:今日はありがとうございました!