レポート:8/3(水)次世代動画マーケティング最前線セミナー
※レポートはpdfでもダウンロードできます。
GREE Ventures は、株式会社レゾナンス、FIVE株式会社と合同で、2016年8月3日に、
「GV Industry Insights 次世代動画マーケティング最前線セミナー」を開催しました。
GV Industry InsightはGREE Venturesが主催するテーマ設定型のシリーズイベントで、今回が初の試みとなります。
前半のセッションでは、FIVE株式会社CEO菅野氏が「モバイル動画マーケティング最前線」をテーマに講演を行いました。
FIVEはGREE Venturesの出資先であり、モバイル動画広告市場のフロントランナーとして急激に成長しているベンチャー企業です。
【FIVEはテクノロジーとクリエイティブでモバイルビデオ広告を再発想】
FIVEは、スマートフォンアプリを通じて、動画広告を配信するプラットフォームを提供しています。
「 多くの人が利用するスマートフォンアプリで、企業の動画広告コンテンツをユーザーにストレス無い形で提供して、
企業にはマーケティングゴールの達成を、アプリ運営者には圧倒的な収益をもたらすことが
FIVEの中心的な価値であると思っている」(菅野氏)
FIVEでは、動画広告を扱う会社として重要なポイントとして、
ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ(BTC)の3軸が高い水準で統合されていることが
重要であると考えています。
菅野氏は、F I V E のテクノロジーの独自性を、動画広告を扱う際に気を付けるべき
3つのキーポイントとともに紹介しています。
1.ユーザーを待たせてはいけない
「映像はデータ容量が相対的に大きいが、コンテンツの閲覧等ユーザーの本来の目的を動画広告のせいで遅くしてしまってはいけない」
これに対してFIVEでは技術的なアプローチとして、ユーザーに対して”読み込み時間ゼロ”を保障しています。
この人はこういう動画を見るということを事前に予測し、先にコンテンツを用意しておく、
FacebookのInstant ArticlesやGoogle AMPのような技術を創業時から採用。
先に動画コンテンツの配信コストがかかりリスクを取ることになる反面、現在ではFIVEのアドバンテージの1つとなっています。
2.コンテンツを阻害してはいけない
「いきなりカットインして強制的に広告を見せるのはもう時代にそぐわない。
ユーザーエクスペリエンスを重視し、動画に対してのアレルギーが出ないよう気を付けなければいけない」
これに対しFIVEでは、指先の動きに合わせて”見たければ見るし見たくなければ見なくてもよい”というような
ユーザー主導のインターフェイスを独自フォーマットとして開発しています。
「 モバイル時代の映像において特徴的なのが物理的に指先にスクリーンで触れていることであり、
広告も同じように指先で扱われなければいけないので、スクロールやバウンド、スワイプなどの指先の動きに応じて、
動画広告も扱いやすくすることを重視している」と解説しました。
3. データ通信を気にかけなくてはいけない
「現在のインフラ環境を考えると、データ通信量を極限まで節約することを考えなければいけない」
これに対してFIVEでは、自社で広告作り尺をつめることや、一度配信した動画ファイルを再活用することで、
データ通信をなるべく節約させる「データ通信節約志向のアルゴリズム」を実行。
1回あたりの動画表示サイズを0.2MBまで圧縮しています。
また、FIVEは最先端のテクノロジーのみならず、クリエティブチームも内製化しています。
動画広告の場合は映像表現によって人の心が動いたり行動に結びついたりするため、
クリエイティブを高い水準で保つことが重要です。
配信技術は前提として、その上に乗るコンテンツもコントロールし ていく発想で事業を展開しています。
「そもそも、創業したときには世の中にはモバイル向けの動画というものが存在していなかったんです。
スマートフォンに最適化された映像をFIVEのクリエイターが毎日たくさん作っています。」
さらに、従来の映像制作では、制作・納品するまでを受注する、いわゆる完パケ主義が一般的でしたが、
FIVEでは、制作のみならず、配信・ディストリビューションまで一貫して行い、パフォーマンスのチューニングまで行っています。
「 作るだけじゃなくて配信をして実際にユーザーの反応がどうだったのかという数値を比較して、
どっちのほうがいいんだっけということまで地道にやっています。
FIVEでは今までのTVCMとは違って実際にユーザーを届けるディストリビューションのネットワークもクリエイティブの部分も持っているので、
制作・ディストリビューションを一体化して適宜改善を行っていくことが出来るのが大きな強みである」
【モバイル動画マーケティング市場では、ユーザーのコンテンツへの
セッション時間短縮化に合わせたマーケティングが求められている】
ユーザーの変化としては、”アテンションスパン(注意が持続する時間)”の短縮化があげられます。
動画の特徴として、一定の時間が経過しなければ意味が伝達しない、という特性があり、ユーザーの時間軸を占有する必要があります。
したがって、”アテンションスパン”という概念が非常に重要になってきます。
「 2000年から2013年にかけて人間の注意が持続する平均的な時間(アテンションスパン)が12秒から8秒に低下していて、
これは金魚よりも短くなっています」(菅野氏)
しかしながらこれは、集中力がなくなったのではなく、
面白いコンテンツが増えていることと、デジタルライフスタイルの変化の影響が大きいです。
面白い情報やコンテンツの増加によって、そのスイッチングコストが圧倒的に下がっている状況です。
「 メディアへの接触時間が長かったり、ソーシャルメディアをたくさん使っていたり、アーリーアダプターだったり、
マルチスクリーン視聴が当たり前になっていると、アテンションスパンは短くなります」
ユーザーの変化とともに、映像コンテンツアクセスのセッション時間も短くなっています。
1時間のテレビ番組から、YouTube等のデスクトップにおける数分のビデオ・クリップ、
いまや、モバイルではVine やスナップチャットといった数秒のコンテンツへシフトしています。
企業の広告もこういったコミュニケーションの中で届けられていくと思います。
【FIVEのプロダクトはスマホネイティブ世代、興味/ テーマが明確アプリ群にフォーカス】
動画広告市場にはPCであればYouTube、モバイルであればFacebook、L I N E 等強力なプレーヤーがいる中、
F I V E は1 0 代・2 0 代のスマホネイティブ世代に目を付けました。
なぜなら、20代のスマホ所持率はすでに94%に達しており、スマホシフトが完了していること、さらに、
マーケッターの課題としてスマホネイティブ世代へのターゲットリーチ効率が悪いという課題があったためです。
また、FIVEでは関心事、コミュニティが明確なアプリ群にフォーカスしています。
なぜなら、興味にマッチしたブランドメッセージをもってくることができることは、企業にとっても広告価値が高く、
ユーザーにとってもHappyな状況だからです。
実際に、広告自体をユーザーが楽しんでキャプチャしてシェアするという新しい現象も発生しています。
「 MixChannelやStudyplus、nanamusic、Locariのような、
チャネルを立ち上げるときのモチベーションが興味関心やコミュニティによっているものを集め、
ブランドにとって意味のある広告配信とアプリの収益化の手伝いをしているのが我々のプロダクトです」
さらに、FIVEでは、広告によるブランドリフトにどれくらい効果があったのか、が測れるよう、
アプリ内でブランドインパクト調査を行える機能も提供しています。
「 動画を配信し、何人が見てくれただけでは物足りない。商品のイメージがよくなったり、
覚えてもらったりという、ブランドリフトの結果を示すことが重要だと思っています」
後半の対談の中では、自分が大切にしている軸として、DeNAの南場さんの話を引用し、
「 世の中に引っかき傷を残したい、何か形を残していきたいという気持ちをもって事業に取り組んでいる」
とFIVEへの事業の思いを語りました。
参加者からは、「モバイル動画広告のみならず、広告市場全体への理解が深まった」
と好評の声が多数寄せられ、盛り上がるイベントとなりました。