【 #STRIVE勉強会 】SaaSスタートアップのためのカスタマーサクセスを学ぶ

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投資先の方々向けに毎月実施している「STRIVE勉強会」。専門分野のプロフェッショナルの方を招き、各社が実践的に使えるノウハウ・スキルを身につけられる講義とワーク型のイベントです。

9月のテーマは「SaaSスタートアップのためのカスタマーサクセス」。近年では、SNSやイベントでもよく聞く話題となった「カスタマーサクセス」。実際に自社でカスタマーサクセスを成功させるために必要な要素とは、どのようなものでしょうか?

今回は、マーケターの経験を経てKaizen Platformのカスタマーサクセス立ち上げを担った岡田奈津子氏にお越しいただき、現場のリアルな声が詰まったカスタマーサクセスのメソッドをお話いただきました。その一部のノウハウを今回はレポートします。

目次

    • なぜ今、カスタマーサクセスが必要なのか
    • カスタマーサクセスとはなに?
    • カスタマーサクセスの2つの原則
    • カスタマーサクセスを成功させるために

 

◆講師 岡田奈津子氏 プロフィール

グリー株式会社でマーケティングやプラットフォーム運営を経験した後、株式会社Kaizen Platformにてカスタマーサクセスチームを立ち上げ、牽引した。2018年より独立し、フリーランスとして開業。

なぜ今、カスタマーサクセスが必要なのか

カスタマーサクセスがビジネスの成功に必要と言われるようになった背景には、ビジネスモデルの変化やデジタル時代の到来が大きく影響しています。インターネット上で「カスタマーサクセス」の検索数が圧倒的に上昇したのは、2018年。有名なカスタマーサクセス関連の本が複数登場した頃でもあります。

カスタマーサクセスは提供する企業側と利用する顧客側のサイクルをスムーズにする役割」だと岡田氏は話します。この企業と顧客(ユーザー)の関係性は、デジタル時代の到来により大きく変わりました。

デジタル時代以前は企業と顧客の間において、圧倒的に企業の方が情報を持っている企業に優位な状態でした。企業はモノやサービスを提供したあとにどう利用しているかを知らなくてもやっていくことができました。

しかし、デジタル時代が到来し、顧客の意識や消費行動も変化します。

インターネットでユーザーがいつでも・すぐに情報取得できるようになったことにより、企業と顧客の関係性は対等な立場になりました

顧客は自分の求めるものを購入するようになり、企業はカスタマーの声を製品に反映させる必要が出てきます。さらにカスタマーの利用データを元に製品改良を続けるサブスクリプションモデルが人気を集め、カスタマーサクセスも注目されるに至りました。

カスタマーサクセスとは何?

では、そんな中でカスタマーサクセス担当は何をしたら良いのか。良いカスタマーサクセスとは何なのか。岡田氏は、「今やビジネスモデルの中心はProduct Centric(製品中心)からCustomer Centric(顧客中心)に変わった」と話します。

情報を持った顧客が数多くの選択肢を得たことにより、企業側は顧客が現在どのような状態にあり何を求めているかを理解し、最適なチャネルでアプローチしなければ、商品が選ばれなくなってきたのです。

そこで、顧客とつながり続けながら、顧客の目指すゴールを共有し、顧客の目標を共に達成する担当としてカスタマーサクセスが登場しました。カスタマーサクセスの重要な視点は、製品の利用状況だけではなく、顧客の本当の課題解決に取り組めているかどうか。

岡田さんも過去にサービスの数字上、非常に精力的に製品を利用していたクライアントから解約検討を持ちかけられた失敗経験もあるそうです。顧客の売上や組織の利益に具体的に貢献できているのかという広い視点が本当のカスタマーサクセスを作り出すカギになりそうです。

特にサブスクリプションモデルのサービスでは、利用継続が重要な指標になります。契約獲得を主要な指標として設定する営業チーム・マーケティングチームと違いカスタマーサクセスは利用継続を追っていくチームのため、顧客の本質的課題を解決することが必須です。

カスタマーサクセスの2つの原則

では、実際にカスタマーサクセスは組織内で何をすべきなのか。ちなみに、そもそもこのカスタマーサクセスのポジションを置いていない組織もあるかと思います。岡田氏の話では、USのSaaS企業では最初からおくべき、という声をはじめ、様々な論争もある議題なので各組織の状況にあわせて、このカスタマーサクセスのポジションを用意していくのが良いといいます。

そして、カスタマーサクセスがプロジェクトを実行していく上で大切な原則が次の2つです。

原則1:顧客の状態に合わせて対応

カスタマーサクセスを成功させるには、顧客の状況にあわせた担当の役割の遂行が必要です。

製品・サービスの価値をより早く実感できるようにサポートするオンボーディング期。

製品・サービスの価値をより深く、かつ多く実感できるようにサポートするアダプション期。これらの期間が特に重要でそれぞれの状況を見極め、施策を策定します。

原則2:タッチモデルを使いわける

自社のサービスモデルが1対1の対応に適しているのか、1対nの対応に適しているのか見極め、タッチモデルを効率的に使い分けるのもカスタマーサクセスの原則です。1人に対してmax10社程度のハイタッチ型から1対1000以上のテックタッチ型まで、どのようにコミュニケーションをするのが全体として最適なのかを定めてから遂行します。

どのタッチモデルからはじめて良いかわからない初期は、お客様の声が聞きやすいハイタッチでいくのが意外と効率が良い場合もあるそう。効率を求めたい場合もあるかと思いますが、効率的なカスタマーサクセスを追求する前に効果的なカスタマーサクセスが実現できている必要があり、その効果とは何なのかを発見することが最も重要なため、初期は効率化よりも効果を重視する方が良いそうです。

カスタマーサクセスチームが陥りやすい課題4選

このカスタマーサクセスは、1組織だけで完結するポジションではありません。全社的な課題への取り組みやカルチャー浸透、課題解決への姿勢があってはじめて成功します。

カスタマーサクセス組織が陥りやすい課題についても岡田氏が話してくれました。

課題1:知見の属人化

タッチモデルがハイタッチ側だと特におこりやすい課題です。知識が1人のカスタマーサクセスに偏るため、退職するとお客さまが離れてしまったりします。この場合はメイン担当とサブ担当と置く、などのやり方で知識をあらかじめ分散することが有用だそうです。

課題2:業務の肥大化

業務が肥大化してくると、あれこれやらなきゃいけない問題が起きます。顧客の増加により起こりやすい問題です。業務を整理する必要があります。

課題3:カスタマーサクセスチームの組織内形骸化

主に「顧客がどうしたら成功するのか」を話すチームである、という指針を持つカスタマーサクセスマネージャーがいない組織に起こりやすい課題です。カスタマーサクセスという名のサポート部隊や営業部隊として動いてしまっているケースがあります。この場合は適切な人をカスタマーサクセスマネージャーに置くのが有効です。

課題4:方針の迷走化

経営ボードにカスタマーサクセス責任者が不在のケースや、経営と現場は方針を理解していても、中間層の人々が理解していないケースです。組織変更や経営者理解を深めることを実施する必要があります。

カスタマーサクセスに関して今すぐできることを

顧客企業内の複数の人々にとって信頼されるアドバイザー、自社内では顧客の代弁者の役割を担う必要があるカスタマーサクセス。「カスタマーサクセスマネージャーをはじめ、カスタマーサクセスチーム、社内組織全体での取り組みが顧客の成功体験にとって大事」だと岡田氏は話します。

会社のフェーズによってカスタマーサクセスの組織や施策は変わりますが、STRIVE勉強会の中でもワークになっていた「カスタマーサクセスに関して今すぐできることは何か?」をまずは考えてみることからはじめるのが良いかもしれません。