【カケハシCOO×STRIVEタレントパートナー】スタートアップの成長フェーズに合わせて二人三脚で行った採用戦略
猛スピードで成長するスタートアップにとって採用力は、成長スピードを加速させるために欠かせない要素です。しかし、STRIVEのキャピタリスト根岸が先日noteでもお伝えしているように、直近のリソースやノウハウがない中で事業スピードを保って進んでいかなければならない状況は、アーリーステージにおいて苦しい場面もあります。
そんなスタートアップの悩みをクリアするためにSTRIVEでは、投資先の採用支援に力を入れています。今回は投資先である、電子薬歴システム「Musubi」を提供する株式会社カケハシの採用について、カケハシ COO 中川貴史氏とSTRIVE タレントパートナー 岩井麻衣子の二人三脚エピソードをご紹介します。
採用課題に対して投資先と並走していく
ーー今回はSTRIVEとカケハシが採用について二人三脚で進めていったエピソードについて聞いていきたいと思います。岩井さんがカケハシの採用支援をするきっかけは何だったのですか?
岩井:カケハシはキャピタリストとして根岸が担当している投資先です。カケハシは当時8人の組織で組織拡大のタイミングだったので、採用についての課題定義がされ、その部分を一緒に解決するタレントパートナーとして取り組ませていただくことになりました。
ーーそもそもカケハシとしては、STRIVEを出資先として検討する中でハンズオンの部分も意識していましたか?
中川:出資のきっかけは、STRIVE代表の天野さんにヘルスケア関係のイベントでお会いしてお話したところ、カケハシの事業に興味を持ってくださったところからでした。薬歴の業務システムは開発が大変で初期投資にもお金がかかる部分があった中で、可能性を見出してくれたのは本当に嬉しかったです。
その後、根岸さんに弊社の担当として伴走していただきました。初期段階での根岸さんの存在も心強かったですね。
ーー具体的に根岸さんのどのような部分が心強かったんですか?
中川:困ったことがあって相談したときに、ただアドバイスをくれるだけじゃなく、実際に大変な仕事も含めて汗水一緒に垂らしながら行動してくれるんです。
補助金の書類に手間取っているときも「間に合ったね!」と最後まで付き合ってくれたり、ブースの出展で本当に人手不足のときは一緒にブースに立ってくれました。
投資家としてただアドバイスをくれるだけでなく、時に厳しく優しく、大変な時にも並走してくれる感覚が嬉しかったです。
ーーSTRIVEと二人三脚を開始した当時の課題を解決していくにあたり、まず何からはじめられたんでしょうか。
中川:最初の1年間は開発人材の獲得がプロジェクトとして走り出しました。そろそろシステムが完成するというタイミングの中で、採用に特化した人材やノウハウが社内にいなかったんです。そこで岩井さんに入っていただきました。
スタートアップの経営者は採用の知見を必ず持っている、というわけではないので、こういった支援はかなり助かります。プロに入ってもらえると正しいエージェントコミュニケーションなどノウハウをすぐに活用できるので、採用に関する動きと早さがかなり変わりました。
ーーなるほど、初期段階での組織づくりのスピードがかなり大切、ということですね。
中川:そうなんです。良い人を採用できるかで最初の事業スピードが決まるので組織づくりは本当に大切です。初期の1人や2人が良い人材か、で今後の事業成長の角度は飛躍的に変わると思うんです。
そういった意味では、事業成長の角度を早める上で並走していただいたのは、とても良かったです。
ーー岩井さんは取り組み当初、どのような動きをされたんですか?
岩井:だいたい月10時間から15時間程度で支援をしていました。スタートアップの初期段階で、採用のノウハウが必要な部分や細かな作業に時間を割かれるのは大きな損失です。なので、そういった部分を積極的に巻き取るような動きをしていました。
取り組み方をこの段階できっちり決めてしまうのも依頼がしづらい部分もあるかな、と思い協力体制も進みながら作っていった形です。
具体的にはエージェント紹介とスカウトを担当していました。スカウト文面、スカウトのリストアップなどは私が管理し、それを社内で判定してもらっていましたね。簡単なコメントやリストアップなど、手間をかけさせないことに注力しました。
ーーカケハシは現在社員80人を超えた組織でもうまく採用が進んでいるかと思うのですが、スムーズに進んだポイントはありましたか?
岩井:カケハシさん側でどういう人を採用したいかの部分が明確だったのは大きいです。いかに目指すべき採用のための判定プロセスづくりができるか、ということでPDCAを回していけました。
ーー何か支援をする中で気を付けていた部分はありますか?
岩井:経営者の方の忙しさは理解していたので、どうしたら最小のエネルギーで効率よく欲しいターゲットにリーチできるかを意識しました。プロジェクトの軸を常にポジティブに定め、いかに採用のパイを広げるかをイメージしました。
あとは、社内にある機能は社内メンバーにお願いし、私は他の角度からバリューを発揮することを意識していましたね。
中川:僕たちのように人事がいない状況から、1人、2人と入社して1人体制の人事になる時は非常に難しいロールだと思います。事業が拡大しているのに組織が出来上がっていない状況なので、悩みも当然出てくるんです。
特にカケハシの拡大期は200人の候補者一人ひとりに対して採用担当者10人の面談という膨大な作業量、同時に書類面談からの通過を把握して施策を打っていかなければならないとなると思考時間をとるのも難しくなるんですよね。
その壁打ち相手としては岩井さんが良い相談役を買って出てくれました。
ーーカケハシでは、どんな採用基準を設けられているんですか?
中川:初期では薬剤師資格を持っていて、MRの経験がある、かつなんらかの表彰実績を持つ人という条件でした。今は営業のポジションであれば法人経験がある人、のような基準ですね。
初期の段階でメンバーが大事にしていたのが、全体を見て手厚いフォローができる人でした。それから組織体制が変化して、効率化ができる人にシフトしていきました。採用活動を重ねていく中でお客様の心を掴むだけでなく、サービス導入後にきちんと使っていただくようサポートできる人とイメージも明確になっていきましたね。
岩井:そういえば私、カケハシさんがビジネスの細かなフェーズの変化に対していち早くアクションを調整していけるところが「すごいな」と一緒にやりながら感じてました。
採用データベースが底をつくことを早めに予測し、どういうところを攻めるか早め早めに意識して動けていたのには感動しました。
中川:今も選択と集中は引き続き実行し、運用していく中で数字が上がらない場合には方向修正もきっちりとします。
第二新卒をターゲットにしてみたり、医療に興味がある人でビジネススキルを持つ人を対象としてみたり、とチャレンジも含めながら岩井さんと試行錯誤することもありました。岩井さんが情報をくれるので、その情報に関して議論することもよくあります。
――チャレンジや試行錯誤をして見た結果どうでしたか?
中川:一例ですと、第二新卒を採用ターゲットにした際に「少し違うかもしれない」と感じるようになりました。弊社は平均年齢35.5歳で落ち着いた雰囲気の会社かつ、自律自走を大切にしているのですが、第二新卒の方だと他のメンバーのキャッチアップや手厚いフォローが必要になってしまうことに気づいたのです。
その時は若手の優秀層が集まる媒体を選択していたのですが、応募者の中でもスキルやビジョンを育成していく段階の方も多かったため、ビジネスサイドの採用はすぐに切り替えをしました。
ーーそんな試行錯誤を経て、いまの採用プロセスはどのようになっているんですか?
中川:私たちが採用の中で大事にしている要素が「現場のメンバーの納得感」なんです。初期は入社するまでの面接で、社員全員に合うようなプロセスを踏んでいました。
いまでもカジュアル面談を含めて一次面接から三次面接までで合計7人〜10人、関係各所のメンバーが面接するようになっています。
ーー毎回複数のメンバーが対応とは!すごいこだわりですね。
中川:初回面談から入社までのスピードに遅れはでるものの、やはりメンバーの納得感は大事なので、やらざるを得ないと心に決めていました。複数の担当者が先行することで複眼的に採用候補者を見ることもできます。
代表権限を持つ人がOKを出すと、プロジェクトとして進んでしまうケースって組織の中であると思うんです。しかし、カケハシでは経営陣がOKといってもメンバーがNGを出したら立ち止まる。課題定義をして合理的な判断で進める、というようにしています。
ーー面談以外にも人事・採用関連で取り組まれていることはありますか?
中川:最近ですと、設立3周年を記念してメンバーのご家族と一緒にファミリーデーを開催しました。
◼️ファミリーデーの様子
カケハシの大切にしている思いやカルチャーを社内外の人に理解してもらうための活動へも取り組みを強化しています。
未来的人事をカケハシで創り上げる
ーー今後のカケハシの採用はどのように考えられていますか?
中川:採用と組織づくりは会社を経営していく中でも最も大切で、成長の可否を決めると言っても過言でないと思っています。この重要な部分の仕組みづくりをより強化していきたいです。
VCのハンズオン支援では、ピンポイントで知り合いを繋いでくれるパターンやコミュニティづくり、採用イベントの開催などの方法もありますが、岩井さんはカケハシ自体の組織や採用をどうしようという継続的な取り組みを支援してくれました。そのお陰で組織がしっかりと自走する形で固まりつつあります。
ーー採用や組織に関して今後取り組みたい部分はありますか?
中川:成長期からはじまり、拡大期で大きくなった組織を今は整えているフェーズです。3ヵ月後を予測し、次に何が起こるのかを考えているのが今です。
拡大期もまた再び訪れると思います。その時には、今と違うあり方が求められてくると思うので、やり方や進め方、考え方を柔軟に変えられるよう備えていきたいです。
私は、会社のバリューである「変幻自在」を大事にしています。自分自身の強みをそれぞれが掛け合わせていくスタイルを、人事を担う私たち自身も体現していきたいんです。
人事は人事部ではなく、あくまでも必要なことを遂行できる集団です。現場に深く関わった上で採用活動をし、入社後の仕組み化なども含めて未来的なカケハシらしい人事組織を創り上げたいです。