レポート:10/19(水)スタートアップ3社の技術責任者が語る、チーム開発手法/物作りの裏側!

10/19(水)にネットジンザイバンク/グリーベンチャーズ共催で、「スタートアップ3社の技術責任者が語る、チーム開発手法/物作りの裏側! 」と題し、技術Orientedなサービスを展開する3社が登壇し、各社の 各社の技術的な取り組みに関するLT&パネルディスカッション&交流会を開催いたしました。エンジニアの方々を中心に50名の方にご参加頂き、大盛況のうちに終了いたしました。

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【各社LT】

1. ookami 安部 昌乗氏
ライブ共有型スポーツニュースアプリ”Player!”を提供する、ookami,Inc. 安部 昌乗氏からは、”超人エンジニアのおかげでグロースに繋がった技術選択”というテーマで、Reactの技術特性や実現できたこと、ReactとFirebaseを組み合わせたサービスの特徴を中心にご共有頂きました。日本ではまだ導入事例が少ないツールですが、Reactを採用したことにより、リリースの高速化、ライブ臨場感の演出、安定した運営を実現。ユーザーの滞在時間向上に寄与したサービスを実現することができた、と熱く語っていただきました。

2. FIVE 小西 祐介氏
続く、スマフォ動画広告ネットワークを提供するFIVE株式会社の小西 祐介氏からは、FIVEの「ユーザー本位」の開発方針に基づく、ユーザーストレスを最小限にする 配信の工夫や、スケールを実現するために、複雑性を抑えつつ、最高速度で開発するための環境作りについて講演いただきました。さらに、エンジニアリソースが限られている中、クライアントの要望に応えるために活用している”クソハック”では、3つのポイントを共有いただきました。①1回キリを乗り越えるには、適当なハックで何とか実現②繰り返し必要になったら、きれいに書き直す③コードを汚くしないために、クソハックは反省文とともにコードに明記する

3. Kaizen platoform 石橋利真氏
LT最後のトリでは、WebサイトのUI/UX改善のためのプラットフォームを提供するKaizen platoform,Inc.の石橋利真氏からは、最適なコミュニケーション方法と、プロセスの仕組化についてご共有いただきました。フロー情報はSlackを、半フロー/半ストック情報はQiitaを活用し、非同期、かつオープンなコミュニケーションを実現していると共有いただきました。また、プロセスの仕組化では、slack + hubot +circleci + githubの自動連携や、Browser stackといった品質管理と効率性を重視したツール選定について語っていただきました。

【パネルディスカッション】
後半のセッションでは、3社が乗り越えてきた技術負債や、開発体制、コミュニケーションツールに関しパネルディスカッションが行われました1.どのような技術負債があり、どう乗り越えているか?
Kaizen platform 石橋氏:
「2~3か月に1回改善weekを作り、そこでは新規開発の手をとめ、修正に集中するという時間を意図的に作ることで、技術負債を定期的に解消している」

FIVE 小西氏:
「複雑になっているコンポーネントがないかを定期的に見直し、Splitを行っていること。初めから完璧を目指さず、とりあえず作る、2回つくればいいものが作れる、という意識で開発を行うことで、技術負債を解消している」

ookami 安部 氏:
「実際に、Player!では、リオオリンピックというタイムラインを目指すことを最プライオリティに開発したことで技術負債が発生した。そのため、後日、作り直した方がいいところを修正する時間を確保した」

各社とも、技術負債が発生してしまうことは必然の出来事としてとらえ、きちんと修正を行うプロセスを考えているところが共通点としてありました。

2.どのような開発体制か?また組織の規模によりどう変化したか?

Kaizen platform 石橋氏:
「初期の2~3人のときは、Githubだけで乗り切れた記憶がある。5~6人に増えた時点で”カンバン”を導入し、各人のタスクを管理していた。さらに、10人Overからは、組織を目的別プロジェクトに分け、 3~4人ずつのチームに編成した。大人数な組織になっても、少人数なチームで動き、話し合える環境を作ることが重要である」

FIVE 小西氏:
「エンジニアの役割分担は、サーバー別ではなく、機能単位で担当を決めている。それにより、自然とOverlapする部分はよくコミュニケーションを行い、お互いの開発内容を理解するようになっている。
また、エンジニアとビジネスサイドがよくコミュニケーションすることも意識している」

ookami 安部 氏:
「レポジトリ毎にオーナーを決め、責任の所在を明らかにすることで、各エンジニアが最後まで責任感をもつ仕組を心掛けている」

組織の規模感はそれぞれ異なるものの、3社とも個々が責任感を持って動けるよう工夫しているところが共通点としてありました。

3.ビジネスサイドとのコミュニケーションをどのように考えているか?

Kaizen platform 石橋氏:
「開発にもビジネスサイドの人とのコミュニケーションが重要だと考えている。具体的には、Quiitaを導入し、ビジネスサイドの人の考えも共有することにより、なぜセールスが売ることに苦労しているのか、クライアントはどのような機能を求めているかを理解できるようになった」

FIVE 小西氏:
「お客さんの求めるものは常に変わるという意識を持つことで、セールスの人とコミュニケーションを積極的にとるようになっている」

ookami 安部 氏:
「C向けのサービスなので、クライアントの意向というものはないが、ユーザーニーズを把握するために、ビジネスサイド、エンジニアサイドともに、実際にサービスを使いながら一緒に改善点を模索している」

3社ともに、ビジネスサイドとエンジニアサイドが活発にコミュニケーションをとることが良いサービスを作るには不可欠と考えていました。

4.開発環境、ツールはどのようなものを取り入れているか?

Kaizen platform 石橋氏:
「エラーやスローログ等、ウォッチすべき事象が発生した際には、Slackに通知が飛ぶよう、各ツールを連携させている」

FIVE 小西氏:
「Google時代の経験からScalaを活用してるが、Javaっぽく書くことで、みんなが使いやすくなることを意識している」

ookami安部 氏:
「言語はCTO中村の好みでRubyを選択、ツールは、Githubに集約し、コミュニケーションツールはSlackに落ち着いている」

各社とも独自の基準でツールを選択していますが、よりフィットするようにカスタマイズしている点が印象的でした。

発表後の懇親会では、ご参加頂いた皆さまと活発にディスカッションして頂き、交流を深めて頂くことができました。

 

【登壇者プロフィール】
■KAIZEN platform, Inc. ■
石橋 利真 様 Co-Founder & CTO

前職はリクルート社、同社の研究開発部門Media Technology Labにて新しめな技術の事業応用とwebっぽいオープン文化の啓蒙で日々を謳歌。
調整さんの共同作者でもある。2013年3月Kaizen Platform社をCEO須藤憲司と共に立ち上げる。

■FIVE Inc. ■
小西 祐介 様 Co-Founder & CTO

東京大学大学院修士課程にてコンピューターサイエンスを修了後、2009年に Google Japan に入社。Google Play、Android、Google ショッピングのエンジニアリング、製品開発を担当。2014 年にFIVE を設立。ICPC や TopCoder Open など、国内外のプログラミングコンテストで多数入賞。IPSJ Science Research Award for Young Scientists 受賞。

■ookami, Inc. ■
安部 昌乗 様 取締役/共同創業者

学生時代、同社代表の尾形とレジャーイベント事業を起こし、Webマーケティングを担当。大学卒業後はITベンチャー企業に入社し、Webコンサルタントとして通算100社以上のWebマーケティング改善に取り組む。1年3ヶ月で退職をし、株式会社ookamiに共同創業者として参画、取締役に就任。2015年、スポーツエンターテイメントアプリ「Player!」を公開。
早稲田大学政治経済学部卒。BBT大学所属。