クロスビットが目指すワークフォースマネジメントのデジタル時代 クロスビット 小久保孝咲氏 × STRIVE 四方
シフト管理SaaSサービス「らくしふ」を運営する株式会社クロスビット。2020年9月には2億円の資金調達を実施しました。副業解禁や働き方の多様化により、今後ますます増えるであろう非正規雇用者の人的リソース管理は、企業にとって大きな負担になっていくものと考えられます。「らくしふ」が目指す未来について、代表取締役の小久保孝咲氏とSTRIVE インベストメントマネージャー の四方に語ってもらいました。
ニューノーマル時代でさらにニーズが高まる、デジタル化する業務管理
四方:まず、「らくしふ」についてうかがっていきます。
小久保さん(以下、小久保):「らくしふ」は2017年8月に提供を開始したシフト管理サービスです。LINEを用いて「シフト管理の効率化」と「従業員の最適配置」で利益を最大化することができる点が特徴です。現在、導入店舗数は4,500店舗以上を突破しており、シフト管理業務の90%以上の削減や、他店舗間のヘルプ機能の活用による数百万円分のリソースの創出など、多くの成功事例が生まれています。
四方:事業を立ち上げるにあたり、小久保さんは市場や社会情勢について、どう捉えていらっしゃいましたか。
小久保:「らくしふ」を提供開始した2017年は、国内外でスマートフォン向け業務管理サービスの黎明期といえる時期でした。モバイル端末の保有率は84%となり、スマートフォンの保有率も60%を超え、SNSやアプリも一般的に使用されるようになりました。この環境の変化は事業に大きく影響しました。
四方:そうした環境の変化の中で、どのように事業の軸を決めたのでしょうか?
小久保:起業前に携わっていた人材領域の仕事を通して、いろいろなビジネスの可能性があると思っていました。「らくしふ」の事業を開始する際は、やりたいと思えること、かつ勝てるポジションであること等の軸で事業を考えました。
国内には約570万の事業者があり、そのうち変動的に働く従業員様の管理をしている事業者が約170万と言われています。また、大手企業が類似領域で事業を立ち上げようとしながらも思うようには上手くいっていないことも認識していましたし、その理由もユーザーへのヒアリングから想定できていました。社内や各VCともディスカッションを重ねて、将来の方向性も定めた上でスタートアップの事業としてやる意義を確信し、企業の人材関連の非効率をこの領域から改善していこうと決めたのが事業開始のきっかけです。
四方:時代背景も大きく影響していますよね。日本の労働人口減少を背景に、人材不足や既存リソースの最大活用ができていない等の課題があります。また、副業解禁の促進や、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が定着し自由な働き方が注目されるなど、非正規雇用の人口は今後も増えていくと思います。そのような中で、デジタル化して業務管理を楽にできるニーズは今後も増えていくのではないでしょうか。
経営面から組織・人材・広報領域のサポートまで ーー STRIVEとの事業共創とは
小久保:四方さんから見て、今後さらにポジションを確立するために必要なことはどんなことが考えられますか?
四方:先ほど非正規雇用者の人口増加についての話が出ましたが、まさにこの時代感をきちんと捉えているかが重要だと思います。業務管理に紐づく勤怠・労務管理、給与計算、求人といった各オペレーションを、外部サービスと連携して構築することが必要なのではないでしょうか。すでに「らくしふ」が外部サービスとの連携を強化している点は、サービスを利用していただいている企業からも好評ですよね。
小久保:そうですね。様々な領域で品質の高いSaaSが存在する中で、DX文脈で「らくしふ」の導入を検討されている企業様にとっても魅力的なのではないかと思っています。実際、他社サービスとのコンペの際、約8割の企業に「らくしふ」導入を決定していただいています。
四方:時代の変化と共に増える非正規雇用者の管理を効率的にすることに加え、どのように最適な人員配置を行うかということが、「らくしふ」の1番のコアな価値なのではないでしょうか。その価値を最大化するための支援を行っていきたいと思います。
小久保:このように、STRIVEさんとは事業戦略やサービスの本質まで議論させていただいています。今は月に数回定例ミーティングを実施しており、採用・広報・ファイナンスなどについては必要に応じて都度コミュニケーションを取らせていただいています。
四方:事業がスケールする中で、メンバーも増えましたね。小久保さんがひとりで営業を担当されていたとき、必ずやり切る姿が非常に印象的でした。この突破力の強さは事業にも現れていると思っていて、当初から必ず予算を達成されていました。
小久保:ありがとうございます。
四方:STRIVEに期待することは何でしょうか?
小久保:STRIVEさんには、ファイナンスや採用、広報といった社内に体制がない機能までしっかり支援していただいていると思っています。また、VCのみなさんからクライアント企業をお繋ぎいただき、契約締結まで決まることも多く、非常にありがたいです。
四方:クロスビットが提供するサービスが、業務効率化や利益最大化といったクライアント企業の課題解決をうまくサポートできているんでしょうね。
小久保:ありがとうございます。当時は何もわからない状況でどのように事業推進していくか悩んでいました。そのなかで、STRIVEさんは事業の作り方やテクニック、投資家さんとのコミュニケーション、外部からは得られない情報や失敗事例の提供など、最初のフェーズで必要なことを揃えていてくださいました。目線や速度を共有しながら一緒に考えて動いてくださるところが魅力的だと感じています。
ワークフォースマネジメント領域でのNo.1ポジション確立に向けて
四方:「らくしふ」の今後について、小久保さんのビジョンをお聞かせください。
小久保:人的リソース管理は、海外ではワークフォースマネジメント、つまり労働力の管理最適化を意味します。まずは、この領域で、きちんとNo.1のポジションを確立したいです。また、将来的には周辺の課題である採用や育成等の領域への展開も検討していきたいです。
四方:このあたりもよく議論していますよね。
小久保:人材育成も「らくしふ」と親和性があると考えています。たとえば、労働時間が3日の人に1日かけて業務を教えるのは非効率なので、「これを見ればオンボードされた状態になる」という仕組みをつくりたいです。既存事業での線形の成長と合わせて、非線形の成長を狙っていくのは、会社として必要なことだと思っています。今後も、期待値を超えて事業を成長させていきます。
四方:「らくしふ」は、周辺領域をさらに拡大できるポジションにいると感じています。現状のシフト管理の効率化だけでなく、AIを用いた最適配置の提案、オンボーディングなどの人材育成といった価値を提供できるようになれば、自ずとオンデマンドワーカー市場のプラットフォーマーになりえると思うので、今後もその絵を実現するために、引き続き支援していければと思っております。