2年でメンバーが5名から60名超へ。STRIVEと共にSkyDriveが積み重ねてきた採用体制の遷移 SkyDrive 福澤知浩氏 × STRIVE 岩井

投資先by STRIVE

日本初の「空飛ぶクルマ」を開発する株式会社SkyDrive。2012年に発足した有志団体”CARTIVATOR“のメンバーを中心に創業した、航空機・ドローン・自動車、それぞれの分野のエンジニアを中心に立ち上がったスタートアップです。2020年8月には、39億円の資金調達を実施。2023年度の有人機サービスの開始へ向けて、着々と準備を進めています。

創業からおよそ2年。事業の成長と共に採用体制も強化し、創業当時5名だったメンバーも60名を超えました。では、ここに至るまでにどのような採用の壁を感じ、乗り越えてきたのでしょうか。代表取締役CEOの福澤知浩氏と、STRIVE タレントパートナーの岩井に語ってもらいました。

「空を身近に使える未来」を実現する事業を2軸で展開

岩井:まずは、SkyDriveさんが展開している事業について伺っていきます。

福澤さん(以下、福澤):株式会社SkyDriveを2018年7月に創業し、現在は空飛ぶクルマとカーゴドローンという2つの軸で事業を展開しています。我々が目指しているのは、”空を身近に使える未来”の実現です。
有人機開発においては、実際に人が乗車してどこへでも飛べるモビリティとその社会を創り、無人機開発においては、モノを運ぶ作業をドローンで代替することで現場の生産性向上を行い、きつい・汚い・危険の「3K」の仕事の負荷を下げたいと考えています。カーゴドローンは今年から販売を開始し、有人機は2023年のサービス開始を目指しています。
そんな中、従業員数は、創業時には5名だったのが現在は60名以上が在籍しています。

岩井:2020年8月には、STRIVEをはじめとした10社からシリーズBラウンドで39億円の資金調達を実施されましたね。

福澤:はい。創業時、資本政策や調達ストーリーなどについて、開発マイルストーンをベースに何を成し遂げるかというゴールまでの道筋を描きました。現状、その道筋通りに推進できている状態です。

STRIVEとタッグを組んだ採用活動と組織作り

岩井:私がSkyDriveさんに関わり始めたのは、シリーズAの時だったので、ちょうど1年前くらいですね。

福澤:そうですね。その時点ではメンバーが20名弱ほど在籍していました。
現在、岩井さんには、採用・育成・組織作りなど幅広い領域で一緒に動いていただいています。初期はアドバイスをもらう程度でしたが、今ではCXO採用、人事組織の体制づくり、組織文化づくりなどがっつり入り込んでもらうようになりました。「ここはこうした方がいい」とメンバーにもきちんと伝わるように言語化していただけているのがありがたいです。

岩井:どうしても採用したい内定者の方に対するコミュニケーション作戦を一緒に立てたこともありましたね。
ご支援開始前から今も今後もSkyDriveさんの採用活動はとにかく採用難易度が高いと感じています。というのも、技術者を集めようと思っても空を飛ぶものを作った人がそもそも国内には少ない等の「採用の母集団が少ない」という課題があるためです。さらに、その少ない母集団の中から、スタートアップ企業が能力・経験値が揃っている人材を国内で採用成功させることは非常に難易度が高いんです。

福澤:戦後一度も、日本企業が旅客機を作ったことがないですからね。

岩井:そこで、必然的に海外メンバーの採用を視野に入れる必要が出てきます。
正直、日本語で組織を作ることでさえも難しいのに、多言語・多文化の中で組織作りをするとなると、技術の問題だけではなくさまざまな問題が生じてきます。採用難易度もさることながら、人材を確保したあとの組織作りもチャレンジが大きいものになるだろうだと感じていました。

福澤:直近半年に関しては、採用だけではなく、そういった人事の体制と、組織全体の体制をどう整えるかということについても推進していただいています。私とCTOと岩井さんとで週に数時間、がっつり時間を取って議論してきました。今は人事も交えて定期的に議論をしています。
採用面や体制については答えがない領域なので、SkyDriveにとって最適なものが何なのかを、プロフェッショナルな目線で助けていただけるところが助かっています。そもそも我々は採用の全体像や人事全体の構造を理解し切れていないので、どうあるべきなのか、この先にどんなトラブルがあるかもわかっていません。その道しるべをSTRIVEさんには作っていただいています。

岩井:まだまだ実現できていないこともたくさんありますが、一つずつ着実にやっていきましょう!

福澤:一般的には、試行錯誤している中でたまたま当たるものですが、STRIVEさんにはこれまでの経験や知見があるので、「これは今はまだ適さない施策だよ」と言ってもらえます。なので、意味のあるリソースの使い方ができていると感じています。

岩井:もちろん、私たちがお伝えできることは伝えていますが、どうしていきたいという構想は、福澤さんやCTOの岸さんをはじめとした経営陣の皆さんの中にすでにお持ちなんですよね。その言語化をサポートできればと思っています。

福澤:ありがとうございます。人事体制の面では、知識レベルではわかっているけれど、それを自組織でどのタイミングでどのように進めていくかについては理解していなかったことを、SkyDriveの体制に落とし込んでくださったので、わかりやすく進められています。

岩井:現在は、HRの方が中心となって人事ポリシーを作ろうと動いています。SkyDriveさんがどういう企業になっていきたいかという基準を最初に定めておくことで、以後取り組んでいく人事施策にも一貫性をもたらすことができますし、社内の皆さんへ説明しやすくなります。そして次は、できあがった人事ポリシーを元に等級制度や給与テーブルなどを作っていくフェーズですね。

福澤:STRIVEさんは、社員や業務委託とはまた異なる絶妙な立ち位置で伴走してくれています。また、領域の専門性の高さ、丁寧なコミュニケーション、柔軟性の高さ等、クオリティの高さにはいつも助けられていると感じます。

岩井:少し外にいる立場だからこそ見えることや、大胆に動けることがあると思いますので、この立ち位置を上手に活用していただけると嬉しいです。

福澤:STRIVEのタレントパートナーさんは企業横断で色々な組織を見ているので、現場のリアルな情報が集まってくる点もよいですよね。

岩井:そうですね。また、STRIVEでは常にキャピタリストとタレントパートナーが連携して採用や組織課題を解決できる体制をつくっているので、投資先の皆さんを多角的にサポートできているのだと思います。

大切にしたいのは、メンバーがいかにビジョンを中心にいきいきと働ける環境を作るか

岩井:今後、採用や組織作りをどのように推進したいと考えていますか?

福澤:現状、採用に関してはふたつ不足しているポジションがあると感じています。ひとつが「コアエンジニア」です。空飛ぶクルマは、プロペラやモーター、電池や制御コンピュータが必須のものです。その領域を理解できるエンジニアが最も重要なのですが、実際ほとんど採用できていないんです。CXO採用の時のように、潜ってコアエンジニアを探しにいかなければいけないなと思っています。
もうひとつが「エンジニアの中間管理職」です。勤怠やスケジュール管理、意見の取りまとめまで、エンジニアをマネジメントするポジションが必要だと感じています。

岩井:エンジニアの採用は苦戦していますよね。求めている母集団を形成できても、組織作りの基盤ができていないと入社後にオンボーディングがうまくいかず、いい人材が辞めてしまいます。「まずは組織をつくる」という点からもサポートさせていただいています。
最後に、SkyDriveのこれからの展望についてお聞かせください。

福澤:2023年度に有人機の販売を予定して動いているので、そこに注力することが第一です。そのためには、メンバーの8割を占めるエンジニアが、いかにビジョンを中心にいきいきと働ける環境を作るかが重要であると考えています。
SkyDriveにマッチした人材と、その人たちが100%の能力を発揮できる環境とが組み合わさればどんな目標も達成できるはずなので、そこを中心に考えていきたいです。
そして、カーゴドローンは既に発売開始しているので、それがあちこちで社会の役に立つ未来を目指していきたいと思っています。