起業家に伴走して事業成長を加速化し、日本の産業再興を/インベストマネージャー 小林 智裕
2021年6月、STRIVEに小林が加わりました!ファーストキャリアはコンサルティング業界。スタートアップ業界との出会いから今後の起業家支援まで、想いを聞きました。
※ インタビュアー:コミュニケーションズ・パートナー 田原
▼STRIVE インベストメントマネージャー 小林 智裕
2021年にSTRIVEに参画し、新規投資先の発掘や投資先の事業戦略策定、及び実行を支援。参画以前は、マッキンゼーにて、製造業、消費財、物流業界のクライアントを中心に、全社・事業戦略、新規事業戦略、M&A支援、組織・オペレーション改善支援に従事。東京大学大学院 情報理工 知能機械情報専攻 修了。大学院時代は、道具を即座に使用可能なロボットの実現に向け、シミュレーションと実機実験に励む
Twitter:https://twitter.com/Tomo_Kobayashi1
事業戦略、M&A支援、プロダクト開発の経験を経て改めて感じるスタートアップの魅力
――まずは、学生時代についてうかがっていきます。小林さんは何を専攻されていたのでしょうか。
東京大学大学院の情報理工学系研究科で人工筋肉を用いたヒト型の柔軟なロボットを研究していました。最近では、介護や育児や物流施設など、人と安全に協働できるロボットとしても注目されている分野です。元々私は、最先端のテクノロジーに興味があり、ヒトよりも優れた知覚や動作を可能とするロボットを作ってみたいと思い、研究に励んでいました。
――その後、新卒のキャリアとしてマッキンゼーを選ばれます。ロボット研究とは異なる業界の印象ですが…(笑)
そうですね(笑)。日本の産業をもう一度盛り上げたいという強い気持ちが原動力としてあります。私が生まれた1990年頃には、バブル経済も一因ですが、世界の時価総額ランキングの上位50社中約30社が日本企業でした。しかし、2021年4月時点で、ランクインしている日本企業はトヨタ社のみです。そこに悔しさを感じてきました。
昔から今に至るまで、製造業中心に日本に卓越した技術力や素晴らしい人材がいることに変わりはありません。しかし、過去の成功体験や短期的な業績への関心から、中長期的な変化に保守的で、業務改善に向けた技術の取り込みへのためらいや開発した技術を新規事業に繋げられていない点が日本企業の課題だと思います。そうした企業をコンサルタントとして変えたいと考え、入社しました。
――当時、どのような業務を担当されていましたか。
製造業と消費財関連の業界を中心に、事業戦略の立案から全社オペレーション改革、M&Aの支援など、幅広く担当しました。精密機械や半導体など、学生時代に専攻していた分野であるロボットに通じる企業も多く、クライアントさんの雰囲気や文化に相通じるところも多かったです。また、戦略が絵に描いた餅にならないように、実行に落とし込むことを常に大切にし、実行に向けた課題や腹落ち感の醸成に向けた合意形成まで支援していました。
――スタートアップ業界に関わることになったきっかけは何だったのでしょうか。
実は、大学院生時代に金融メディアを運営するスタートアップ企業でインターンをしていたんです。当時は創業初期で、正社員の方が2名しかいない時期でした。そのため、幅広い裁量権を持たせていただきながら、エンジニアとしてサイトのコーディングやデザイン構築といったプロダクト開発の仕事を経験させてもらいました。
どの顧客に何のサービスをどのように提供すべきかの仮説を考え実行し、検証する。成功した時は達成感を味わえましたし、そうでないときでもなぜ上手くいかなかったかを深堀し、改善策を考えることに面白さを感じていました。この時、高速でPDCAサイクルを回し、事業を立ち上げ、世の中にインパクトを与えるというスタートアップならではの醍醐味を経験することができました。
実際に様々な起業家の方々と関わる中で、新しい価値の提供やイノベーションを起こそうという力強さを持ち、ゼロイチでプロダクトづくりをされている姿を見て、改めてスタートアップの魅力を感じています。
起業家の熱いパッションに寄り添い、起業家に伴走して事業成長に寄与したい
――投資家として、最近のスタートアップ関連のトレンドをどう捉えていますか。
以前から注目している観点が2つあります。1つは「資金」、もう1つは「人材」です。スタートアップ業界がさらに発展するために、この二点が重要だと考えているのですが、双方の面で土台が整いつつある、と思います。
資金面については、日本のスタートアップへの投資額はまだGDP比率で米国の約10分の1の水準ですが、昨今の金余りや事業会社からの資金流入もあり、改善されてきています。
また、人材に関しては、市場サイクルが一巡しつつあり、連続起業家がさらに一段階増加するフェーズに入ってきたのでは、とみています。起業の成功事例が増え、成功パターンが確立され始めることで、新規事業への挑戦に対する心理的な敷居が下がり、挑戦しやすい環境が整いつつあるのではないでしょうか。また、投資家側もそうした企業には大きな投資をしやすく、スタートアップ業界への投資の大型化が進み、優秀な人材がさらに流入するという、好循環に入っていくのではとみています。直近では、令和トラベルさんの大型資金調達がまさにそうした傾向を象徴するニュースでした。こうした企業で育ち、巣立っていく人材が起業し、成功することで、新興領域の盛り上がりが加速化していくのでは、と注目しています。
また、感覚的にも異業種からスタートアップ業界にチャレンジする人が増えてきた印象があります。特にコンサルタントや投資銀行などのプロフェッショナル業の経験を活用できる領域でもあるので、「自分の手で自由に事業を動かしたい」と考え始めた人が流入することで、人材の量と質が向上し、業界全体が活性化することを期待しますし、支援していきたいと思います。
――入社後に起業家の方々とお話する中で、何か共通点はありますか。
起業家の方々は確固たる自分の信念を持たれていて、世界をより良くしたい、自分が変えてやろうというパッションがひしひしと伝わってきます。この熱意こそが事業が成功するための要因のひとつでもあると思います。また、成長や学びへの意欲が高いことも印象深いです。事業仮説を検証するサイクルを高速で回すことで、失敗の際は柔軟に進路を変更し、成功を積み重ね、仕組化につなげていくプロセスやマインドセットが根付いている方が多いな、と思います。
――特に注力したい投資領域はどこですか。
自分の強みでもあるロボティクス領域に興味があります。私が専攻していたソフトロボティクスの分野は、今後五年間で年率約40%で急成長すると予想されているホットな領域です。大企業が参入できる領域でもあるので、スタートアップ企業と大企業が連携することでさらなる事業価値向上に繋げていけるのではと考えています。
また、自然言語処理などの機械学習を活用した各産業ごとの更なる業務プロセスの効率化にも注目をしています。機械学習領域は進化を続けるホットな市場で、私がいた研究室でも研究を進めていました。当該技術により個人の特性や状況に合わせたプロダクトのカスタマイズや自動化が可能になりますし、ロングテールにもリーチできるようになります。こういった技術を組み込んだバーティカルSaaSはさらに伸びていく余地はあるのではないかと思います。
目指すは日本産業の再興。スタートアップ×大企業で産業全体の活性化を
――改めて、小林さんが抱いている「熱」についてお話をうかがっていきます。
繰り返しになりますが、私の至上命題は「日本産業の再興」です。そのために、眠っている技術を掘り起こして価値につなげるべく、エンジニアや研究者など優れた技術力はありながら経営スキルが発展途上にある方たちのサポートもしていきたいです。また、スタートアップ企業と大企業・メガベンチャーのアライアンスも加速化していきたいです。新たな成長の種を探し続けている大企業にとっては、スタートアップ企業が保有する新興技術は非常に魅力的ですが、どの企業とどう提携すべきかは手探りのところが多く、またスタートアップ側も同様です。一方で、非連続な成長を実現させるため、業務提携は重要で前職で経験した大企業ならではの考え方や意思決定のメカニズムの知見を活かして、両者の架け橋になれるような取り組みを行っていきたいです。
――最後に、起業家へメッセージをお願いします。
日本の産業は、再び輝けるかの分岐点にまさに差しかかっていると思います。その中でも起業家の皆さんの情熱と推進力こそが、産業全体をもつき動かす原動力となりうると信じています。そのため、起業家の方々と共に全力で新たな挑戦に向かっていきたいと思います。未知の領域での挑戦ですので、事業課題や資金調達の悩みなど何でも気軽に相談してほしいです!今後起業家の方々と定期的に直接話せる機会を増やすため、毎月オフィスアワーを開催予定です。シリーズA前の壁打ちや相談の場として、ぜひ気軽に参加してください。
▼STRIVE オフィスアワー
日程:2021年8月26日(木) 14:00 ~ 17:00 (各社約25分)
内容:シリーズA前のステージの企業を対象に、事業や資金調達等のの相談・壁打ちを行います
参加投資家:STRIVE インベストメントマネージャー 四方、古城、高田、小林
参加方法:以下のフォームよりご応募いただいた方にZoom URLをお送りします。
https://forms.gle/poY1EKSb35mULA9T6
※ 応募人数多数の場合は、先着順にて参加人数を調整させて頂きますのでご了承ください
※ 今後毎月開催予定です